暑い季節の入浴

アトピーを患うと、「入浴に関すること」で悩むようになる人が大勢います。今回は、暑い季節の入浴についてお話しします。

治癒力を高めるために、入浴は必ずすべきか?

アトピーのスキンケアでは、“皮膚を清潔に保ち、皮膚をしっかり保湿すること”が大切です。そのため、“皮膚をしっかり洗浄して、皮膚の汚れを落とすこと”がなにより重要です。

特に夏場は、汗をかき、皮脂が多く分泌されますから、そういった汚れが残るとブドウ球菌などの細菌が繁殖しやすい環境になります。クリームなどの保湿剤や軟膏などの薬剤を塗っている場合も、薬剤をきれいに洗い流す必要があります。

「アトピースキンケア」の観点に立つと、皮膚を清潔に保つことができれば、シャワーだけでもよいし、必ずしも入浴する必要はありません。
ところが、「体質改善」という観点で考えると、入浴することで体を温めて末梢の血液循環をよくしたり、リラックス効果などが期待できますので、治癒力を高めるためには入浴が必要ではないかという考えもあります。

もう少し掘り下げてお話すると、
“治癒力を高めるためには体を温めたほうがよい”というのは、“体が冷えている場合は体を温めたほうがよい”ということになります。
体温が低いと、体の代謝を司る自律神経や酵素の働きが下がり、治癒力が低下するからなのです。

そのため、「冷えているときは体を温めたほうがよく」、「ほてっているときは体を冷やしたほうがよい」ということなります。
ただ冷やすといっても、ほてっているときは体の表面だけでなく、体内に熱がこもっているケースが多いので、体内のこもった熱を取ることが必要になります。(東洋医学的には「清熱(せいねつ)」といいます)

外気温が体温と同じくらい高くなる夏場は、あえて熱いお湯につかって入浴することは必須ではありません。特に、熱がこもりやすい体質の方(夏場にアトピーが悪くなりやすい方)は、温まることでかえって体がほてり、アトピーが悪化してしまうこともあります。そのため、シャワーだけでも十分ですが、お湯に浸かりたい場合は、ぬるま湯や短時間での入浴にした方がよいでしょう。

また、かゆいときは冷水で皮膚を冷やすと、気持ちよかったり、かゆみが減ったりしますが、温まったあとに冷水を浴びると、熱がこもるので注意が必要です。冷水で皮膚の表面にある毛穴が締まるため、熱がこもってしまうのです。

一方で、寒い冬は、温まったあとに冷水を浴びて皮膚を締めると、湯冷め予防になります。
最初はものすごく冷たいですが、慣れてくると体の中からポカポカしてきます。
冷水と温水を繰り返し、皮膚を刺激することは、体の末端からの自律神経刺激となり、皮膚の働きを強化していくことにつながります。